歯の周囲のはぐきや骨が下がって、歯根が露出してくると歯が長くみえるようになります。その状態を歯肉退縮といいます。歯周病が進行すると歯を支える骨が下がって、歯肉退縮をおこします。歯周病があまりない場合でも、生まれつき歯肉がうすい人は、年齢とともに歯肉退縮をおこしてきます。また、不適切なはみがきの仕方や日常のはぎしり、かみ合わせの不調によっても歯肉退縮はおこります。
歯周病の原因と歯周ポケット
歯周病とは、歯垢(プラークすなわち細菌)が歯と歯肉の隙間の歯周ポケットに入り、歯ぐきに炎症を起こすことからはじまります。進行すると歯を支えている骨を溶かしてしまいます。正常な歯周ポケットは1~3mmですが、歯肉の炎症や骨の吸収によって4mm以上に広がります。歯周病になると歯肉が腫れる・出血する・口臭がする等の症状がでて、痛みなどの症状はないまま歯を支えている骨が溶けてきます。進行すると歯がぐらぐら動いてきて、十分にかめなくなります。

歯周病の主たる原因は、歯垢すなわち細菌です.患者さんの不十分な口腔衛生状態によって発症します。そして、ほかの様々なリスク因子によって、さらに病状は悪化します。
- 遺伝:遺伝的な要素が与える影響は大きく、両親から引き継いだ体質や特定の細菌によって、若い時から重度の歯周病を発症することがあります。
- 喫煙:喫煙は、歯肉の血流を悪くし,歯肉の抵抗力をさげ、歯周病をさらに憎悪させます。治療に対しても、手術の成功率がおちるなど、悪影響を与えます。
- ストレス:極度のストレスは,極端な睡眠不足や食生活の乱れをまねきます。自律神経の乱れによる免疫の低下や唾液の減少などによって、歯周病を増悪させます。
- 不適切な修復物:過去の不適切な歯科治療によって、ぴったりあっていない修復物を装着していると、歯肉との境が清掃不良となり、歯周病を憎悪させる要因となります。
- はぎしりや歯列不正:はぎしりによって歯に強い力がかかりつづけたり、歯列不正によって特定の歯だけが強く咬んでいると、歯周病を二次的に憎悪させる原因となります。もちろん、歯並びが悪いと清掃しにくくなり、歯周病を悪化させます。
- 全身疾患:糖尿病や腎疾患など、その他の身体の免疫力の低下をまねく病気は、歯周病を増悪させるとともに、治療にも影響をあたえます。
- 薬物:糖尿病や腎疾患など、その他の身体の免疫力の低下をまねく病気は、歯周病を増悪させるとともに、治療にも影響をあたえます。
このように、歯周病は複雑な因子がからみあって発症している場合が多く、その治療は、まず、患者さん自身のはみがきの方法を改善したうえで,リスク因子を見つけ、それを排除することを検討していきます。
歯周病の治療について

歯周病の治療で最も大切なのは『患者さん自身による正しいハミガキ』です。患者さんの頑張り次第で症状は良くなりますし、うまくみがいてくれないと、改善せず、悪化することもあります。治療は、患者さんと歯科医師・歯科衛生士が連携することで進めていきます。その上でまず徹底した歯石除去を行います。その後、再度検査を行い、その結果によって、個々の患者様にあった治療計画を作成します。症状が進行していて、適応症であれば、症状に応じて歯の周囲の骨や歯周組織の再生治療を行ったり、歯周ポケットの除去療法を行ったりします。また、審美性の改善やはみがきをしやすくするために、歯肉の移植処置などを行う場合もあります。
MJさん(20歳・女性)
初診時:左上の歯肉が痛い
歯周病の説明をして
正しいはみがきを実行
初診時
3週間後
さらに正しいはみがき
を行って3週間後
ここまで患者さんが丁寧に歯をみがいただけです。
歯科医と衛生士は何もしていません。
さらに3週間後
歯石除去
歯石が見えてきたので、歯石を除去しました。
健康な歯肉に回復しました。
歯周病治療の流れ
- 応急処置
- レントゲン検査
- 歯周精密検査
- 口腔内写真撮影
- 歯周病についての説明
- 現在の病状
- その原因
- リスク因子の説明
- 治療方法の説明
歯石除去
お口の中を通常6ブロックに分けて、2週間ごとに行います。
歯周ポケットの深い部分は麻酔をしてきっちりとります。
2回目の検査で状態を把握し、軽度の患者さんはメンテナンスへ。
中等度から重度の患者さんは、詳しい治療計画を立てて、再度カウンセリングを行います。
再評価検査
定期的な検診と清掃
1か月から6か月の間で定期的に
治療後のケアについて
アフターケアが最も重要です。ご家庭でのブラッシング(ホームケア)と継続した定期健診および歯科衛生士によるクリーニング(プロフェッショナルケア)で健康な歯と歯ぐきを維持します。
- 定期健診(1~6ヶ月ごと)
- 虫歯や歯周病のチェック
- はみがきの説明
- ◎虫歯や歯周病のチェック